原発映画を作る(5)試行錯誤が続く

2012年 春
では、どうすればいいのか?
考えた。
センセーショナルなドラマである必要はない。
声高らかに原発反対という作品でもない。
逆にそれでは伝わらないだろう。
誰もが自分のことのように感じる物語が必要だ。
反戦映画で言えば、戦場が出て来る作品ではない。
”戦争と人間” ”人間の条件”
”肉弾” ”ビルマの竪琴”
その種の文芸作品とは違う。
自分らしい物語で描いてこそ、伝わる作品になる。
彼女たちが通う高校の近所に、原発がある。
そこが爆発して、全員が被曝してしまうというドラマはどうか?
トン子が即死、三美子は白血病になり、
みさとは癌になる。そして、順番に死んで行く・・・

酷い・・・考えただけで許せない!
自分で考えたのに、泣きそうになる。
友人に話すと”酷すぎる・・そんな物語、耐えられない”
好感触。
それでこそ、原発事故の悲劇が伝わるのだ。
といって、”青い青い空”の続編で、それを作るのは違う。
同じテイストだが、新たにキャラクターを作り。物語を創造せなば。
イメージは浜岡原発だろう。
今、一番危険な原発だ。
ここがやられたら、静岡県は全滅。風の向きで東京か、名古屋がやられる。
福島以上の惨劇となる。
それを田舎に住む家族の物語で描けないだろうか?
そして、単に原発事故の悲劇を描くだけではなく
家族の絆。家族の一番大切なことを伝える作品にできるのではないか?
あーでもない、こーでもないと
昨年から考え続けた。
(つづく)

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